建築物の審査 ● 構造計算適合性判定業務

設計者様(申請者)へのお願い

一般財団法人 住宅金融普及協会

構造安全性に関する確認審査、適合判定審査を、円滑かつ短期間に終了させるために、以下のことに付きご理解ご協力をいただきますようお願い申し上げます。

1.構造計算書作成の目的とそれに関連するお願い

1.1 構造計算書作成の目的

構造計算書は、構造設計者が当該建築物の設計において

  • イ.目標性能およびそのレベルをどう設定したか、
  • ロ.目標性能を実現するためにどのような方法を採用したか、
  • ハ.目標性能がどの程度達成されたか

を記録した文書です。この記録は、建築主が、あるいは、建築物の買手が、その建築物の構造安全性を詳細に把握するのに必要十分な情報を含んだものでなければなりません。それは、誰が読んでも構造安全性に関する品質を明瞭に理解ができる文書であって、決して設計者だけがわかればよいというような性格のものではありません。このことを十分に認識の上構造計算書を作成してください。
 なお、確認審査、適判審査において提出が要求される「追加説明書」は、構造計算書の不備を補うものですから、構造計算書と同一の目的を持った文書であることも併せてご理解ください。

1.2 構造計算書の各章節項に記載すべき事項

(1)設計方針の記述
 前項のイ、ロ、ハ、の概略を簡潔、明瞭かつ細大漏らさず記述してください。
 なお、設計目標とする構造安全性能には、施主(あるいはデベロッパー)の要求に基づくものと、建築基準法の規定に基づくものの二種類があり、設計方針に関する記述に当たっては、どちらであるかを明確にしておいてください。確認審査、適判審査は、建築基準法の規定に関する審査ですから、同法の規定に関係のない施主の要求に基づく部分に関しては原則として関与しません。

(注)建築基準法の要求性能;常時の荷重(固定荷重、積載荷重、土圧、水圧、多雪地積雪など)に対する性能、短期の荷重外力(積雪、暴風、地震)に対する性能。

(2)各章節項の記述
 市販の一貫計算ソフトのほとんどに見られる傾向ですが、出力される章節項の標題は、非常に漠然としています。これは、ソフトの作成者がどんな場合でも通用する標題を選んでいるからだと思われます。本来なら、「条件Aの場合のはりの応力算定」という標題にすべき所を肝心な部分を削除して単に「はりの応力算定」としているのです。したがって、標題からは、漠然とはりの応力算定をしていることはわかっても、どのような条件下でのはりの応力算定であるか、具体的内容を推定することはできません。かくして、一つの計算書の中に、複数の「計算書」が存在し、それら計算書の各々に「はりの応力算定」が記載されるということになり、構造計算担当者以外の者にはそれらの内容の違いがわからないという事態が発生します。
 そのような一貫計算ソフトの欠点を補うのが、設計者が書く各章節項の冒頭の記述です。そこに書くべき記述とは、簡単に言うと、前述の「条件Aの場合の」に当たる標題を限定する記述です。その記述には、荷重外力条件、解析モデルに関する条件、解析方法、採用した計算式に関する条件など多数の条件が含まれますが、構造計算書全体の流れの中で、書いてなくても無理なく推定できる条件は省略し、どうしてもそこで述べておかねばならない条件を記述してください。

1.3 社内レビューについて

構造計算書が、「誰がみてもその内容を客観的に理解できる」内容のものになっているかどうかを知るには、構造設計の担当者以外の者に第三者の立場に立って判断してもらうのが手っ取り早い方法のように思われます。
 当該プロジェクトに直接関与していない内部者がおられる場合は、可能な限り、そのような者による社内レビューを受けることをおすすめします。

2.構造計算書の編集に関するお願い

(1)構造計算書、追加説明書を構成する全ての資料には、それぞれ必ず目次と通し頁番号をつけてください。ただし、章だけしか書いてないような粗い目次の添付は無意味です。章の中にある節項の細部まで目次に挙げてください。そしてそれぞれに頁番号を記入してください。
 確認審査、適判審査にかかる時間のほとんどは、見たい情報がどこに書いてあるかを探しだす時間と書いてあることが何であるかを判読するための時間です。言い換えれば、計算書の頁をめくる時間です。構造計算書の各資料に詳細な目次が添付され、かつその目次に頁位置が記載されているだけで、審査のスピードは格段に短縮されます。
 (2)図面にも図面リストを添付してください。図面リストが添付されていると、欠落している図面がすぐに発見できます。

3.計算に関するお願い

3.1 一貫計算ソフトによる計算の場合

(1)一貫計算ソフトを使う場合は、全ての電算入力データを省略なく必ず添付してください。「こういう条件によって計算した」という設計者の記述を確認するためです。
 (2)一貫計算の結果は、編集せずに出力してください(出力した頁を削除したり、別の資料を出力した頁の途中に挿入したりしないこと)。不足資料や追加項目を付加したいときは、別編集としてください。
 (3)一貫計算チェックリストを記入する場合、「計算書対応頁」を記入するよう指定があるときは、必ず計算書の対応頁を記入してください。

3.2 一貫計算ソフトによらない計算の場合

(1)一貫計算ソフトによらない場合は、そこでやっていることが何であるか、また設計方針、検討方針、計算方法などをわかりやすく説明してください。また、そこで行われている計算を審査担当者が追っていくことができるように、各数値がどこから来たものか、計算結果がどこに伝達されるかなど、前後の脈絡に関する情報を記載してください。
 以下に挙げた部分の設計においては特にこのことにご留意ください;

  • *基礎、基礎ばり、杭など基礎周りの設計
  • *ボイドスラブの設計

(2)技術基準にない計算方法を用いる場合は、準拠した資料を明記してください。準拠資料の記述に当たっては、書名、章節番号、式番号、頁番号まで書いてください。

4.その他のお願い

4.1 通り芯の名称について

(1)意匠図と構造図で通り芯名が異なる場合は、構造図に意匠図で用いているとおり芯名を併記するか、または対比表を添付してください。
 (2)構造図と構造計算書で通り芯名が異なる場合は、必ず対比表を添付してください。

4.2 部材名について

(1)構造計算書と構造図で部材名が異なる場合は、構造計算書に構造図で用いた部材名を併記するか、または対比表を添付してください。