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家探しの方法(家づくり?・家を買う?)スタートが肝心

柴 建築設計事務所  一級建築士 柴 和彦
( (社) 日本建築家協会・関東甲信越支部 建築相談委員会)

写真:柴和彦氏

家探し「家づくり」と「家を買う」のちがいは何でしょう?

(ここでは、一般的な木造戸建住宅程度を対象として記載します)

家づくり」も「家を買う」も、新しく家を探すと言う意味では同じ事と言えますが、探し方の方法については根本的に異なっています。

「家づくり」とは

生活の主体であり住い手である建築主が、今までの自らの暮し方を意識し、工事(施工)に必要な費用(予算)を考えながら、これからの暮し方や希望を盛り込んだ自らの生活に相応しい家を創っていくことです。
 言い換えると家を暮しに合わせて創っていくことになり、オーダーメイド住宅(注文住宅)となります。
 当然、これからの暮し方や希望を盛り込み予算を考慮した設計や、工事が設計通りに進んでいるかのチェックをする工事監理のためには、専門家である建築士や建築家の業務委託契約(調査・企画業務委託契約や建築設計・監理委託契約)が必要となります。
 また、実際の工事には工務店やハウスメーカー等との工事請負契約(つくる行為の約束)が必要となります。
 家づくりを大別すると、

  1. ①設計・監理と工事を分離してそれぞれに契約を行う設計施工分離の方法と、
  2. ②設計・監理と工事を一括して工務店やハウスメーカーと契約する設計施工一括受注の方法があります。
    また、②のケースには、工務店やハウスメーカー等の会社内に建築士事務所を併設して自社で設計・監理を行い業務委託契約と工事請負契約を別に行っている場合や工事請負契約した会社が他の建築士(建築士事務所)に設計依頼(外注)し建て主とは、工事だけの工事請負契約だけを行い工事の見積りの中に設計料という項目で設計費用が計上されている場合があります。
    また、予め工事金額別や規模別で設計をシリーズ分けして作り、出来上がる家を住宅展示場などで確認できる場合もあります。
 

「家を買う」とは

既に工事が終り出来上がって売りに出ている家(建売り住宅やマンション、中古住宅)について、不動産会社のパンフレットやインターネットなどの情報を基に建物の現地確認を行い、生活の主体であり住い手である買主がこれからの暮し方や希望が盛り込まれているか、購入費用は予算とあっているかなどを考えて自らの生活に相応しい家かを判断して売主である不動産販売会社(不動産会社、工務店、ハウスメーカーなど)から商品として購入することです。
 また、土地を購入する際に“建築条件付き”と既にこれからつくって行く家の設計や施工者(工事を行う工務店やハウスメーカー)が決まっていて、この条件で土地を購入する売建て住宅(建築条件付土地売買)もあります。この場合、土地を購入する際に家は出来上がっていないため、和室を洋室にするような軽微な変更は可能としている場合が多いようです。
 建売り住宅や売建て住宅の購入は、言い換えると家に合わせた暮らし方をすることとなり、商品として購入することになります。レディーメード住宅(建売住宅)やハーフメード住宅(売建て住宅)とマンションや中古住宅が対象となります。
 購入する場合の契約は、

  1. ①建売り住宅の場合は、売り主である不動産販売会社と買主とで売買契約(商品としての売り買いの約束)を行うこととなります。
  2. ②売建て住宅の場合は、建物はこれから工事するために既に決められている工務店やハウスメーカーと請負契約を行う場合もあります。
 

家探しの方法

タイプ分け・スタート

 

Ⅰ.「家づくり」タイプ(スタートが肝心)→スタート

家づくり」は、住まい手自身が家をつくっていく方法であると説明しましたが、専門家ではない住まい手が実際に家を造ることは出来ません。このため自分の代理になり得る建築の専門的な知識を有している建築士や建築家のアドバイスを受ける方が良いでしょう。

以下、「設計施工分離」の方法を例に説明します。青字部分が必要なポイントを示し※印は、「設計施工一括」の方法の場合の補足となっています。

  1. 家づくり意識の萌芽
    「家づくり」の最初は住まい手である建築主が、自分はこの「家づくり」で何を実現しようと欲しているのか、意識を持つ事ではないでしょうか。
    ただし、一概に意識と言っても取りとめもない無い理想から、現実の生活や工事費用の予算など種々雑多な問題を整理して家を造って行く必要があります。
  2. 工事予算の検討
    建築工事に関連する費用は、
    1. ①土地の購入費用
    2. ②建築主の代理となる建築士や建築家に支払う設計・監理料
    3. ③工事費用(建築工事費用や外構費用など)
    4. ④登記費用
    などがあります。
    自己資金と借入れ金額を検討し、また、融資の相談などをして家づくりの可能性を判断します。
  3. 土地選定
    土地(敷地)を所有していない場合
    土地条件(環境、法律、価格など)を判断し、下記A.B.いずれかにより選定する。
    • A.土地購入(土地の所有)
    • B.借地(土地の借地)
  4. 設計・監理者の選定(建築士・建築家)
    「家づくり」においては、全ての工程が重要であるのは当然ですが、自分(建築主)の代理として家づくりのスタート(設計開始)からゴール(家の完成)までを統括して担当する設計・監理者(建築士・建築家)との出会いや選定がとても重要です。この設計・監理者(建築士・建築家)の選定で家の良否が決まると言っても過言ではありません。
    設計者との出会いや選定は、
    1. ①知人の紹介
    2. ②「家づくりの本」などで紹介されている
    3. ③インターネットなどで紹介されている
    4. ④関係団体のセミナー
    5. ⑤ハウスメーカーの設計担当者
    などと様々です。
    いずにしても信頼して自分の代理を任せられる人物を選ばなくてはなりません。
    そのためには、事前に会ってよく話をしてお互いの理解を深めたり、設計者が以前に設計・監理をした工事例の過程の説明を受けたり、完成した家を見せてもらったり、その建て主とも会って話を聞くなどして設計者の家に対する考え方や建て主に対する接し方を知る必要はもちろんのこと、コミュニケーションを図り事前に価値観や相性を知ることも重要です。
    ※設計・監理者は、施工会社社内に併設された設計事務所の社員が担当するのが通常です。
     
  5. 業務委託契約(設計者と建築主との契約)の内容と業務の進め方
    • A.調査・企画業務委託契約
      設計者は、建築主の希望を実現するために、はじめにさまざまな情報を集め、また、現地調査や行政との打合せなどを行い報告書を作成します。
    • B.建築設計・監理業務委託契約
      • ア.基本設計業務
        設計者は、建築主の希望をできる限り実現しながら、安全性や快適性、近隣の町並みや環境などに配慮して構想をねって、建築の規模、かたちを決定し基本設計図書やスタディー模型や工事概算書(設計上の工事予算)などを作成します。
      • イ.実施設計業務
        設計者は、基本設計に基づき建築主と打合せを重ね詳細な設計図書(仕様書、設計図)や完成予想模型(詳細模型)、工事予定工程(工事期間)などを作ります。
      • ウ.監理業務(工事が着工してからの業務となります)
        設計者は、建築主に施工者選定のアドバイスを行い、工事に際しては建築主に代わって、施工者が設計図書に基づき適正に工事を行っているか監理し報告します。
        工事が完成したときには建築主と設計者、施工者三者で工事完了の検査を行い業務が完了した報告を行います。
  6. 施工者の選定
    • A.特命工事方式
      建築主の親戚関係や気に入った施工者など、またその施工者でなければ施工できないような特殊な工法による工事など、建築主が決めた1社だけに見積を依頼して行う工事です。
    • B.競争見積方式
      数社に平等に設計図書を貸与して設計図書に基づいて設計説明を行い、見積条件(工事に関するさまざまな条件や工事金額の支払い方法など)を伝え一定の見積期間を決めて見積依頼し、建築主の希望に一番近い施工者に工事を依頼する施工者選択方法です。施工者からの質疑に回答し提出された見積書や工程表を設計者が比較検討し建築主に報告して建築主が当落を決定します。
      ※工事請負契約が既に行われていますので選定は必要がありません。
  7. 契約
    施工者との契約は、“「家づくり」とは”で記載した工事請負契約となり、契約書と契約約款、見積要項、見積条件書、質疑応答書、工程表、見積書、設計図書(仕様書や設計図一式)などを作成します。 この工事請負契約の書式は、施工会社が自社で独自に作っているものや建設業界で一般的に使われている民間連合協定工事請負契約書なども販売されています。 契約書の内容は重要ですので専門家(建築士、建築家、法律家)に見てもらうのが良いでしょう。工事請負金の支払(支払時期や金額)は施工者選定の際に提示した条件となりますが、工事請負契約を行った時点で ①工事請負金額の1/3を契約時金として支払い、②上棟(屋根が掛かった時)時点で工事請負金額の1/3を中間時金として支払い、③竣工時点で工事請負金額の1/3を最終金として支払われるのが一般的です。
  8. 施工(工事)
    施工者が中心となり給排水工事や電気工事、土工事など各職種別の工事会社をまとめ進捗に併せて手配を行い工事は進んで行きます。工事途中で監理者による監理(設計図書通りの施工であるかのチェックや工事の進捗状況の確認、変更への対応)が行われます。
    ※木造住宅などの工事の場合は、社員である工事管理者(工事をまとめる責任者)が対応している場合が多いようです。
  9. 竣工(完成)
    工事が竣工すると工事竣工検査(最終的に建築主がスタート時点で希望していた建物として完成したかの検査)が行われます。

    工事竣工検査には、
    1. ①施工者が自社独自で行う社内検査
    2. ②行政が行う竣工検査(法的な検査であり合格すると検査済証が発行されます)
    3. 設計・監理者が行う竣工検査
    4. ④建築主が行う竣工検査もあり、それぞれの指摘(設計図書との差異や施工不良などの不具合)は“ダメ工事”として期間を定めて適正に直され確認を行った上で工事竣工となります。
    工事が竣工すると竣工引渡が行われ、この際に施工者から竣工引渡書類(引渡書、引受書、鍵一式、保証書一式、竣工図、工事写真、竣工写真などで、設計図書に竣工図書として記載されています)が建築主に渡されます。
    また、設計・監理者からは工事監理報告書(工事中に監理者が施工者に対して行った指摘や変更などの内容や時期が記載されています)が渡されます。
 

Ⅱ.「家を買う」タイプ(スタートが肝心)

「家を買う」の場合、買主である住まい手が決まっていないため基本的に売主(不動産販売会社)や設計者及び施工者(工務店、ゼネコン、ハウスメーカー)は販売する予定金額(土地の金額+家の金額)から、この家を購入し得る一般的な購入者が欲していると思われる要素(生活、材料、設備など)や性能を平均的に取り入れた内容で設計し、工事を行い販売しています。
 買主は、設計者や施工者とは直接的な関係が無く売主(不動産販売会社)と買主(住まい手)との売買契約を締結します。したがって、通常は販売パンフレットや新聞のチラシ、簡単な平面図営業マンの説明、出来上がった家の案内だけで判断して購入しているケースがほとんどで詳細な設計図書を見て購入しているわけではありません。
 しかし、建売り住宅や売り建住宅、マンションや中古住宅の購入に際しても現状の家を見てから最終金の支払などが発生するため、この際に建築知識のある建築士や建築家に同行してもらい良否の判断をしてもらうなどのチェックをする必要があります。
 また、売建て住宅(建築条件付土地売買)のようにこれから家を作っていく場合であれば、建築士や建築家に第三者監理(建築基準法上の監理者が存在する)を依頼して買主の代理(売主との合意が必要となります)として工事途中の重要なポイントでチェックを行い確認して工事を進める事も重要でしょう。

三角敷地に建つ家(筆者が設計した 住宅 N―1邸)

写真:模型 写真:模型
スタディー模型での検討 スタディー模型での検討
写真:模型 写真:模型
スタディー模型での検討 スタディー模型での検討
 
写真:建物 写真:建物
建物完成 建物完成
写真:建物 写真:建物
建物完成 建物完成
 

【しば・かずひこ】

(社)日本建築家協会建築相談員
(事)東京建築家協同組合
(独)国民生活センター顧問
(N)コープ推進協議
(社)東京建築士会
(学)東洋美術学校講師
関東ネット
99建築研究会

住宅・マンションの様々な相談・調査・診断・設計にたずさわる。
設計・監理・調査など独立後26年間の経験を積む。

お問い合わせ先
社団法人日本建築家協会  首都圏建築相談室
TEL : 03-3408-8293  FAX : 03-3408-7129  担当:馬場

※ 今年度3月までのこのコーナーは、日本建築家協会の建築相談を担当している建築家の方々からご意見やご提言を掲載する予定です。

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