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住宅取得のための契約、ここに気を付けよう!

米田耕司建築研究室  一級建築士 米田耕司
((社)日本建築家協会・関東甲信越支部 建築相談委員会)

写真:米田耕司氏

住宅を取得する契約には大きく分けて、売買契約(買う)と請負契約(つくる)があります。
 一般に契約の目的は、誰が誰に対して(契約の相手)、特定された目的物(重要事項説明書、設計図書、見積書など)をどのような条件で引き渡すのか、解除の方法や引渡し後に何か不都合があった場合はどうするのか(契約書⁄引渡し期日、支払条件など。契約約款⁄責任所在、解除条件、瑕疵担保責任、保証、紛争解決など)を出来るだけはっきりさせる事にありますので、後で言った言わない紛争にならないためには、書面による契約書を作成することがなにより重要です。

1.契約の相手を確認する

契約形態に応じて、一体誰と契約するのか契約の相手方を表にしました。

新築住宅を入手する場合の主な契約形態と相手方
契約形態 契約を結ぶ相手方
土地付き建物売買契約(建売住宅購入) 不動産業者(宅地建物取引業者)
建築条件付土地売買契約
区分所有建物売買契約(マンション購入)
工事請負契約(設計施工一貫型) 住宅メーカー・工務店など施工業者
設計監理業務委託契約+請負契約
(設計・施工分離型)
設計事務所(設計監理業務委託契約)
+工務店(請負契約)

※中古住宅の購入の場合は、不動産業者が転売する場合は別として、売買契約の相手方は売主(個人や法人)になります。この場合、不動産業者が仲介に入る場合がほとんどです。

 

2.契約の条件・内容を確認する

1)売買契約(買う)の場合

売買契約を行う前の建物のチェックポイントですが、中古の場合は現物が見られるので比較的確認が容易です。見えない部分(構造、断熱、遮音性能など)について重点的に注意を払う必要がありますので、図面等で専門家に助言をしてもらうことをお勧めします。新築建売住宅や新築マンションの場合は、完成前に購入することがほとんどですので、完成してから思っていたものと違うということにならないよう、現地で周辺隣地や隣家との関係を確認したり、設計図書(図面と仕様書、パンフレット、概要書)などで、できるだけ住宅の出来上がりを具体的にイメージできるように説明を求めましょう。また、重要事項説明を早めに受けて、地盤調査の結果と基礎の形状なども確認します。もちろん、契約約款(債権債務、解除条件、紛争の解決)、保証書の説明を十分に受けましょう。工事中ならば、必ず現地に行って、出来上がると隠れてしまう部分や設計図書と現場の内容が一致しているか確認することが大切です。専門家に依頼して、見てもらえばより安心です。

2)請負契約(つくる)の場合

住宅をつくる場合、設計図書がないと工事は出来ません。しかし、住宅の内容(目的物)を決める設計図書を作成し、工事監理をするための契約が、請負契約と一体になっている設計施工一貫型か、設計監理契約と請負契約を別にするかで、注意点や安心感が全く違ってきます。

①設計施工一貫型で契約する

ハウスメーカーや工務店と設計施工で工事を依頼する場合、施工者は、簡単な図面(平 面図と立面図など)と概算見積書を作成して請負契約を結ぶ場合が多く、その後設計が進み、詳細が決まるに従って、見積り内容が変わる点は要注意です。
 本来は、目的物の内容を特定できる詳細な設計図書(図面と仕様書)を先に作ってから見積明細書を作るのが原則です。打合せを充分に行って、請負契約前にできるだけ後で金額が動かないような設計図面や仕上げ表など仕様書をしっかり作ってもらうよう求めてください。
 工事請負契約時に注意するポイントは、代金の支払条件、工事日程などを約する工事請負契約書、契約の詳細な条件が書かれた契約約款(責任所在、債権債務、解除条件、紛争の解決)、設計図書の質と量、工事見積書および、工事保証書の内容の説明を充分に受けて確認してください。特に契約前には、設計図書と見積明細書にくい違いがないか充分確認する必要があります。

②設計事務所に依頼してから請負契約を結ぶ

設計事務所(建築家)と契約を結ぶ場合は、過去の仕事の実績や相性などを確かめたり、設計・監理業務委託契約の業務範囲(設計と監理の内容、担当者、打合せ回数など)と設計図書の内容(量と質)、報酬などの説明を受けてください。業務内容は、建築主の条件の整理、聞き取りの後、設計案の作成。設計内容が決まれば、構造・設備を含む詳細設計を行ないます。この設計図書で、工務店など施工者に見積りを依頼し、工事金額と技術力などを勘案して請負契約を結んでいただきます。さらに設計監理者(建築家)が工事中、建築主の立場で監理(設計図書どおり工事が行われているかを監視する)を行いますので、建築主にとって強い味方になるはずです。分からないことがあれば、納得できるまで説明を受けましょう。

3.契約解除の条件、瑕疵担保責任と保証書を確認する

契約の解除条件も充分に確認しておきましょう。また土地建物の売買・請負契約の瑕疵担保責任とは土地や建物などに引渡し後、表面上見えない瑕疵があった場合、買主や発注者は売主や施工者に対して瑕疵の補修や損害賠償責任を請求することができます。
 また、場合によっては解除ができます。平成12年4月に施行された住宅の品質確保の促進等に関する法律により、同月以降契約の新築住宅の基本構造部分(構造耐力上主要な部分又は雨水の侵入を防止する部分)について、供給者(売主・請負者)の瑕疵担保責任を問える期間は10年間となりました。それ以外の部分は特に定めなければ、民法による木造5年、堅固な建物10年間となりますが、特約で内装、設備など1年〜2年程度に定めている場合が多いので、契約約款や保証書(アフターサービス基準)などで確認して下さい。
 なお、平成21年10月1日以降に引き渡される住宅については、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保に関する法律の整備により、施工者や販売者に基本構造部分に対する瑕疵担保責任の履行に必要な資力の確保のために供託・保険加入を義務付けることになりました。これにより、消費者にとってより安心できる住宅取得が可能になるでしょう。

まとめ

消費者にとって、住宅の取得に関する契約(不動産売買契約や設計・監理契約、請負契約など)は経験が少なく、分かりにくいと思われます。内容をよく読んで、分からないところは分かるまで設計者やハウスメーカーなどに説明を求めてください。それでも不安な場合は、建築家(設計を専業とする建築士)や弁護士などに助言してもらうと良いでしょう。

« お勧めする参考図書 »

  • ・「住まいをつくる相談室」
    井上書院
  • ・「欠陥住宅見抜き方、直し方 77のポイント」
    同文館
  • ・「ハウスメーカー77社個別診断」
    建築ジャーナル
  • ・「欠陥住宅紛争解決のための建築知識」
    ぎょうせい
  • ・「住宅建築トラブル相談ハンドブック」
    新日本法規

【よねだ・こうじ】

一級建築士事務所 米田耕司建築研究室 代表 管理建築士
一級建築士・インテリアプランナー

(社)日本建築家協会「登録建築家」関東甲信越支部建築相談委員会副委員長
首都圏建築相談室員
世田谷区街づくり専門家
認定登録木造住宅耐震診断士
東京地方裁判所民事調停委員及び同裁判所専門委員
住宅紛争審査会紛争処理委員(東京三弁護士会)
第二東京弁護士会仲裁センター仲裁人候補者など

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「暮らしの疑問 プロが答える」日経新聞(2007.5〜2008.4)の記事を掲載。
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« 主な所属団体 »
(社)日本建築家協会(略称JIA)、東京建築家協同、(社)東京建築士会、99建築問題研究会

« お問い合わせ »
社団法人日本建築家協会  首都圏建築相談室
TEL : 03-3408-8293  FAX : 03-3408-7129  担当:馬場

※ 今年度3月までのこのコーナーは、日本建築家協会の建築相談を担当している建築家の方々からご意見やご提言を掲載する予定です。

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