住まいの情報 ● 百・家・争・鳴

マンションのメンテナンスとリフォーム

一級建築士 小島 孝豊
(社団法人 日本建築家協会・関東甲信越支部 建築相談委員会)

小島 孝豊

分譲住宅着工件数に占める共同住宅(日本での呼称ではマンション。以下マンションという。)の割合は、全国平均で60%。都市部では更に多くて、平成20年統計で74%を超えています。
 私たちにとって、今やマンションは居住形態として不可欠な存在となっております。
 しかし、欧米に比べてわが国はマンションの歴史が浅い。このようにマンションが数多くつくられるようになったのは、日本の歴史ではほんの数十年前からです。ですから、マンションを購入し初めて住まう人も珍しくありません。
 共同で建物を使うことに慣れていないせいか、マンションのトラブルはまだまだ多いようです。その一方で、住人同士の接触が増えて、戸建てに住むよりもかえって親密な地域交流が活発になるという声も聞かれます。

マンションの維持管理

戸建てでは、その家主が建物を維持管理することになります。建物に不具合が出たら、その都度直し修繕することとなり、家主の日常生活の中で目が行き届く範囲にあります。
 マンションという建物は、個人の所有物でないということと規模もそれなりに大きく個人の日常生活の範囲というわけにはいきません。建物の構造が鉄骨鉄筋コンクリート造とか鉄筋コンクリート造であったりしますが、専門家でないかぎり建物本体の特性に精通していません。室内の壁が濡れてしまい、漏水と思っていたのが実は結露が原因だったりします。このように、一般の区分所有者にとっては維持管理そのものがわかりづらく、そしてわずらわしい状況にあります。
 建物というものは「適切な時期」に「適切な手入れ」が必要ですが、どのように向き合っていくべきか、どのような仕組みをつくればよいのか、管理組合にとって大問題になります。
 建物の維持管理に居住者の関心が希薄な投資型のワンルームマンションやリゾートマンション等に多くみられることですが、適切な維持管理を怠るとあとで大きな代償を払うことになりかねません。

専有部と共用部

マンションの管理組合は、その所有者(区分所有者)で構成されています。国でいう国会にあたるのが管理組合総会です。年一回、定期総会が開かれて一年の活動が上程され決定されます。管理組合の活動を支えるのは、理事で構成された理事会です。これが執行機関の役割を担います。理事会の長が理事長で管理組合の法律上では「マンションの管理者」と位置づけられています。
 マンション建物の共用部は管理組合で、専有部は区分所有者が維持管理することになります。費用は、修繕積立金で賄なっています。この積立金は、日常管理のための費用とは別に扱うように位置づけられています。すなわち、区分所有者が毎月納める費用の中には「日常管理のための費用」と「建物修繕のための費用」とがあるということです。それを明確にするために、管理組合はこれらの費用を別々の口座で区分けしております。

修繕積立金とは

専有部は戸建てと同じ感覚ですので、実態は理解されやすいと思います。汚せばきれいにする、故障すれば修繕する、使いづらくなれば取り替える。これが建物共用部となると、複雑になります。部位がたいへん多く、また多岐にわたっているので、専門家でないかぎりイメージが追いつきません。日常管理に近いものから、長期にわたって考えて修繕しなければならないものまで、さまざまです。
 日ごろ、皆さんが耳にする建物外部の「大規模修繕工事」は、10年〜15年周期で行われています。電気・機械設備になりますと、更に長い周期で考えられています。長周期で行われる部位の修繕工事は費用も大きくなる傾向があります。このように将来の修繕工事にそなえて、毎月積立金を貯めることになるのです。

長期修繕計画の必要性

鉄筋コンクリート、鉄骨鉄筋コンクリ−トの建物は適切に修繕が行われれば、100年以上ながもちします。200年もたせることも不可能ではありません。修繕には多額の費用がかかりますが、いつごろ、どれ位費用がかかるか、建物の中身によってさまざまです。それぞれのマンションによって異なりますが、それを計画するのが、長期修繕計画です。建物の維持管理の基本となるものですから、そのマンションの長期修繕計画を確保することが重要になります。そのためには、建築の専門家であり、マンションの維持管理に精通したコンサルタントに相談することをおすすめします。

 

【こじま・たかとよ】

一級建築士
(社)日本建築家協会関東甲信越支部建築相談委員会 首都圏建築相談室員
世田谷区マンション相談員、横浜市マンション相談員、港区まちづくりコンサルタント

« 主な所属団体 »
(社)日本建築家協会(略称JIA)、(社)東京建築士会、(社)日本建築学会

« お問い合わせ »
社団法人日本建築家協会  首都圏建築相談室
TEL : 03-3408-8293  FAX : 03-3408-7129  担当:馬場

※ 今年度3月までのこのコーナーは、日本建築家協会の建築相談を担当している建築家の方々からご意見やご提言を掲載する予定です。