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住まいの情報 ● 百・家・争・鳴

「自然に逆らわない家づくり」

菅原律子設計事務所 +itiS  菅原律子

菅原律子氏

ひと頃のデザイナーズマンション流行りが一段落して、集合住宅にしろ戸建て住宅にしろ住宅デザインに対する意識の高まりを実感するようになりました。今、住宅第一次取得者層と言われる30代〜40代の世代ではインターネット上での設計コンペで家を建てる方や、1社につき数名の建築家を更に数社、設計コンペによる設計を選ぶ方もいらっしゃいます。コンペ獲得した作品は「如何に人目を引くデザインで、安価な工事費で出来たか。」が、決定時の大きな理由のように思われます。中には、数社の見積内容と工事内容の性能表だけ見比べて決定する方もいらっしゃいます。

最近の住宅建築現場は、省エネルギー、長期に渡って丈夫で快適性に優れたもの、又既存住宅に対しては耐震補強や安全性、快適性を高める為に新築、改修を問わず国からの助成制度(基準はあります)も多く見受けられるようになりました。これからの住宅建築は、地震に耐え、持久力高く、メンテナンスしやすく快適、という質の高いストック住宅の増加が見込まれるものと思われます。

ただ住宅建築の現場にいて思うことは、構造強度や設備メンテナンスのし易さを踏まえた設計は当然のこととして、建築する際のいろいろな数値の基準、採光数値、換気数値、断熱数値などなど、がうまくクリヤーしているからと、地域や自然との調和なしで人目を引く建物が増えてきたのも大変気になります。

温暖化による気候変動は周知のことですが、できれば基準数値だけに頼らず、気候風土を考えた住まいづくりに対して以下のような点に注意して取り組んで参りたいと思います。

気候風土に配慮した計画(関東近県を想定しています)

温暖化などの影響で、夏の厳しさが予測されつつある関東近県では、厳冬へ備えるより夏の日差しを避け通風を確保していく計画の方が快適な住まいづくりに繋がると思います。

  • ・配置計画---敷地の通風に配慮する。特に南面には植栽をして緑を通して冷却効果を狙う。
  • ・平面計画---南北に風通りの良いプラン。南面に大きい窓、掃き出しなど。
  • ・断面計画---居間には吹き抜け+上下の窓で風の通りをつくる。吹き抜けが無理な場合はそれに近い風の道を考慮する。
  • ・立面計画---壁への日射を低減する。/特に東西壁面は大きい壁面ではなく、壁に陰影をつけて受ける熱を下げる。日射を軽減するための工夫をする。/低く深い位置に庇をつけて直射を遮る。できるだけ軒先を伸ばしたいが、無理な場合はパーゴラ、日よけ用のスライド建具、ブリーズソレイユなどを西、東、南面に設置する。余裕があればコリドー空間を設置する。
  • ・屋根計画---夏の直射を少しでも低減するために大きい屋根面は分割する。屋根からの直射を断熱する為できるだけ最上階天井と小屋裏は高くとり小屋裏換気を有効にする。小屋裏での断熱が難しい場合は、外部断熱(草屋根など)を考えてみる。
  • ・長期保全計画---長期優良住宅に関する内容はおさえておく。
  • ・その他---新しい素材や旧来の素材をうまく組みあわせ、住まい周辺の地域らしさをデザインに取り入れていく。 など。

自然に逆らわない小住宅設計計画例(東京都調布市)

PDFファイルで拡大図がご覧になれます
1. 配置図+1F平面図
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2. 2F平面図
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3. 草屋根伏図
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4. A-A‘断面図
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5. 北立面図
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6. 東立面図
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7. 南立面図
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8. 西立面図

パース予定
9. パース

直射を遮り、住宅への熱負荷を軽減する例

日よけの工夫1. コリドー空間(米国LAのコリドー(回廊)空間)

南の中庭に面してコリドー(回廊)空間を設け、室内への直射を遮る。列柱の内側にサッシを付けると、サンルーム空間としても活用できる。

日よけの工夫2. パーゴラ

リビング南面のパーゴラが夏の日差しを軽減する。日陰を選びながらアプローチを歩き、玄関へはいる。

  • 埼玉県草加市花栗
  • 海外の住宅例

日よけの工夫3. 敷地南面に植栽をする(埼玉県草加市氷川町)

敷地の南面、道路から建物へのアプローチに植栽すると、直射を遮りながら気温を下げる役割をしてくれる。

日よけの工夫4. 建築化ブリーズソレイユ(東京都中央区)

西陽の直射をやわらげるため、建物西側に横格子のブリーズソレイユと植栽を施したオフィスビル。

自然素材を取り入れた例と既成概念に囚われないモダンデザインの仕上げ例

自然素材 室内を珪藻土で塗る(神奈川県川崎市)

珪藻土を塗った室内空間は、調湿効果と壁の断熱効果もあって、夏冬とも快適な室内環境をつくる。

自然素材 床暖房対応の竹無垢積層材フローリングを貼る(東京都世田谷区)

床暖房の快適さと直に足が触れる無垢材の快適さは、健康的な家づくりにはぜひお勧めです。

自然素材 玄関ホール、廊下に石タイルを貼る(東京都世田谷区)

狭小住宅には視覚的な広がりと、掃除のしやすさ、内外のバリヤフリー化により荷物搬入のしやすさなど特に子育て世代には利点が多い。

既成概念に囚われない家づくり ロートアイアン手摺の階段(東京都世田谷区)

一間角の階段室でも、間仕切り壁を取り払ったり、機能優先の階段手すりをやめてデザイン化されたアイアン手摺に変えるだけで、個性的な美しい住まいになる。

既成概念に囚われない家づくり モザイクタイルの家具(東京都世田谷区)

いろんな条件により、安価なキッチンセットを取り付ける場合も、腰壁やカウンターなどにモザイクタイルなどをデザインしたり、独自の水切り棚を加えることで、ユニークなLDKとなる。

人目を引いて目立つ我が家より、地域環境にマッチし、中にいても快適で過ごしやすく、月日が経った時には内部の改修も無理なくできるような家づくりを提案していきたいと思います。

【すがわら・りつこ】

沖縄生まれ。美大卒業後、商業空間〜住空間のデザイン設計を経て、平成10年一級建築士事務所ピトリ・ピコリから独立。

固定観念に囚われない、その人なりの家づくりを一緒に考えていきます。「家」は買うものではなく、 楽しみながら、悩みぬいて作り上げていくものだと考えます。構造強度など家の精度はもちろんのこと、省エネに配慮しながら “アート” や “色づかい” など、素敵な家をご提案します。
東京〜沖縄で活動中。「itiS」という実験PROJECTでは、櫻庭紀之氏とユニットを組み新しい空間創りを研究しております。

一級建築士・インテリアコーデイネーター

【公式Webサイト】 菅原律子設計事務所 +itiS

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