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住まいの情報 ● 百・家・争・鳴

京のしつらえ

一級建築士事務所 アトリエ サラ  秋元幾美

写真:秋元幾美氏

一昨年から去年にかけて祇園にほど近い敷地に建てる、木造2階建て新築住宅の設計に携わりました。
 京都の伝統的町屋で生まれ育った建て主からは慣れ親しんだ"町屋スタイル"の住環境に、また近い将来、1階を知人常連客のみを対象とした食事処にしたいとのご要望が出されました。

この将来計画にとって職住一体の町屋つくりが理にかなっており、町屋スタイル実現への取組みは時を超えて伝わる先人たちの知恵に身をもって接する機会となりました。
 その一部、デザインの美しさと実用性、合理性を兼ね備えた"京のしつらえ"をご紹介いたします。


2010年5月竣工

A. 玄関庭

通りに面した格子戸をくぐると玄関庭がむかえる。客人への配慮とともに、敷地奥まで光、風をとりこむ空間となる。玄関の大きな引戸は年代物の無垢テーブルを建具に転用した。

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B. 玄関

玄関上り框から座スタイルのカウンターを臨む。
カウンター越しに奥庭が見える。玄関のL字型式台は靴の履替え時腰かけに使える。

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C. 下地窓・掛障子

玄関と和室の間仕切に下地窓と掛け障子を設置。京の伝統的な風情の添え物。玄関〜和室間の気配を伝える。

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D. 掘込みカウンター

カウンター真正面から奥庭が眺められる。
敷地にかかる行政の条例により窓の大きさに制約があった。しかし、限られた視界は季節感や時の移ろいに豊かで繊細な風情をもたらす。

カウンター上部には古道具店から建て主が吟味して選んだ欄間が取り付けられた。

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E. 階段箪笥

旧来の階段箪笥は本来、家族や使用人だけが使う実用本位のもの。
省スペースの為、間口も狭く急勾配で家の隅に設置されるなど冷遇された代物だった。今回はその階段箪笥を和室のメインの見せ場となる造作家具とした。蝶番等の金物は階段奥に置かれた建て主手持ちの年代物家具に合わせ、古道具店から調達された。
古くて新しい階段箪笥。

階段箪笥建具を開いたところ。
細々としたいろんなサイズの収納が確保される実用性、応用性大。中央TV台の観音開きの建具は奥に引込む事が出来るようになっている。

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F. 御簾と簾

和室に掛けられた御簾は蒸し暑い京都の夏の必需品。
こちらの御簾は建て主の実家に代々伝えられてきた思い入れの調度品。冬は建具替えで襖戸が設置される。京町屋の賢く美しい慣習。

2階軒下にかかる簾。軒には簾掛けを設置。腰窓に造作された手摺と簾越しに街並みを臨む。

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【あきもと・いくみ】

一級建築士事務所 アトリエ サラ 共同主宰

日本女子大学住居学科卒の後、(株)ポーラ化粧品本舗の宣伝広報企画から設計事務所に転職。マンション住宅などの設計業務を経て独立。
水越美枝子氏と共同主宰で一級建築士事務所 アトリエ サラにて住宅に加え、店舗、学校のリニューアル、サイン計画など幅広く活躍

【公式サイト】
アトリエ サラ