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沖縄の郊外に住まう

菅原律子

菅原律子設計事務所 +itiS 菅原律子

住むために環境が良く、首都圏や各地方都市とも交通の便がつきやすい場所ということで今様々な地方都市がリタイヤ後のご夫婦、単身者、子育て年代の移住先として見直されてきています。特に沖縄県内は、国勢調査による統計では平成14年〜22年までの年平均人口増加数は約5,000〜6,000人でしたが、昨年の東北大震災以降平成23年6月〜24年6月までの人口増加数が9,483人、世帯増加数が10,430世帯となっています。また観光が基幹産業である沖縄県ですが、昨年中は震災の影響で平均より50〜60万人観光客数が減ったとはいえ今年平成24年7月時点で既に平成21年・22年の総観光者数に迫る、550万人余が訪れています。

人口増があり、産業が活発化し地域が活性していくのは喜ばしいのですが、心配な点は東京や大阪など大都市圏でよく見かける高層マンションの増加や遠隔地の海岸線に建つ移住者向けメーカー住宅や奇抜な住宅群です。その地域風土に配慮した住宅デザインを行っていく事が、結果的に景観を維持し観光産業の発展にも繋がるのではないでしょうか。

私は、これから沖縄県に移住をお考えの方や県内でも沖縄らしい住まい方をお考えの 方に、「沖縄に住みたい」プロジェクトを進行する中でかつての沖縄らしい民家の利点をできるだけ現代に生かした住宅デザインをご提案しています。大きく郊外型と都心型とに分けてデザインしますが、かつての民家ほど敷地の余裕もありませんし、伝統的な建材も不足、何より台風、大雨、高温多湿など気候風土の厳しさへの対抗策としてやはりRC造を中心にした住宅デザインを行って参ります。

かつての民家の特徴

現代ではよほど離島などにでも行かないと目にすることもなくなってきましたが、沖縄らしい伝統的な住まいをご紹介します。

民家のイラスト:拡大図がご覧になれます。
拡大図がご覧になれます(PDF:4.7MB)。

かつての民家の良さを取り入れて---郊外に建つ家/RC造、平家、赤瓦葺き

限られた敷地内ですが道路から後退し、屋敷林、アプローチを経て更に階段を上って人口地盤のうなー(半戸外テラス)を通り、建物に入っていくプランです。屋敷林を渡る涼風も心地良いですが、周囲に対する景観もよくなります。人口地盤の高床は白アリ対策でもあります。

平面図:拡大図がご覧になれます。
拡大図がご覧になれます(PDF:3.9MB)。

かつての民家は木造軸組み工法がほとんどでしたが、気候風土の厳しさや伝統木材などの減少もありRC造の瓦葺きを提案しています。陸屋根のビル型住宅と違い沖縄らしい景観を創るし、深い軒や天井裏の通気、換気口の設置が取り易いのも特徴です。大きな小屋裏は暑い日差しの断熱層にもなります。また人口地盤の高床にすることで、白アリ対策、台風大雨時の対策、湿度対策になります。

南〜北断面図

4面に分割した屋根は直射を分散させる役割がありますが、何より沖縄らしい瓦屋根は風土に似合った建物です。アマハジの柱や梁など軸組みに多く使用されたイヌマキが今は殆ど手に入らなくなりました。アマハジの柱はRCですが、外壁の琉球ガラスやリビングダイニングから続くアマハジ空間、それに繋がるグランドカバーで植栽された人口地盤のウナーは居住する人と訪問する人を緩やかに繋げてきた沖縄民家の良さを現代風にアレンジしたものです。

南立面図

建物西側は浴室のひろがり空間だったり、キッチンからの物干し場だったりしますが西日が厳しい場所なので、アマハジの軒下にテンションワイヤーを常設してゴーヤーを栽培しパーゴラを作ります。ゴーヤー棚の下は涼しく快適です。

西立面図

1月下旬〜2月中旬頃、沖縄県では最も寒い時期となります。海洋を渡ってくる北風の強風に対して、北側の屋敷林は有効です。南面の解放空間に比べて北側はできるだけ壁面を多くします。

北立面図

首里城の周辺など伝統的なエリアは風致地区指定などにより、随分沖縄らしい景観になってきました。沖縄の郊外や離島などに移住して新築をお考えの方も多い事と思いますが、是非沖縄らしい住まい方を取り入れつつも現代風に過ごし地域の景観に寄与するような建築をお勧めします。

【すがわらりつこ】

沖縄生まれ。美大卒業後、商業空間〜住空間のデザイン設計を経て、平成10年一級建築士事務所ピトリ・ピコリから独立。
固定観念に囚われない「あなたの家」を一緒に考えていきます。

「家」は買うものではなく、楽しんで悩んで作っていくものだと思います。
構造強度や省エネルギー住宅設計に力を注ぎますが、“アート”や“色づかい”など人の暮らしにウィットや豊かさをプラスできる住宅デザインを目指しています。
東京〜沖縄で活動中。「itiS」という実験PROJECTでは、櫻庭紀之氏とユニットを組み「沖縄をはじめ、各地の風土を活かした家創りを研究しております。」
一級建築士・インテリアコーデイネーター

【公式Webサイト】
菅原律子設計事務所 +itiS